【vol.14】生地耳に宿るmatectの情熱と物語 

季節をめぐる、ものづくりの熱

この暑さ、いつまで続くの！！？という猛暑の記憶も遠くなり、朝晩はすっかりと冷え込む今日この頃。死ぬほど暑かった夏が終わり、ようやく秋の深まりを感じています。
外の木々は鮮やかな紅葉を迎え、なんて日本の四季って素晴らしいんだと感じている本社工場の東です。

皆様、すっかりご無沙汰しておりますが、今回は私たちが情熱を注いでいる「未来図プロジェクト」の中核製品、matect（マテクト）の製品が、いかにしてこの世に生み出されたのか—その「裏舞台」を皆さんにお伝えしたいと思います。

挑戦と革新の裏舞台

1. 企画：「一点もの」の強みとターゲット

matectの製品作りの始まりは、タクティクス福井さんたちの頑張りでようやく出来上がった「生地耳」を1本1本つなぎことによって生まれた50㎝角の生地からでした。
このカラフルでユニークな生地を見て、私たちは「どんな製品にするか」を思い悩み、徹底的に議論しました。

この生地の最大の特徴は、「同じものが一つとしてない」ということ。
何種類もの生地耳をつなぎ合わせているため、一つ一つが世界に一つの表情を持っています。
私たちはこの「一点ものの強み」を最大限に生かす製品づくりをしたいと考えました。

そして、このサステナブルな背景と一点ものの価値を理解し、長く愛用してくれるもの、そして普段の生活で日常使いでき他の人が『これ何？？』って目を引くもの。そこに、matectの「特別感」を込めようと決めたのです。

2. 試作：立ちはだかる「厚み」の壁

コンセプトが固まり、メンバーで意見を出し合った結果、クッションカバー、ブックカバー、ポーチ、そしてバッグ系も欲しいという意見から、ちょっと目を引く三角のサコッシュ、コインケースやスリッパと様々な製品案が挙がりました。

いいか悪いかはまずはつくってみてから！！ということで自らミシンを踏み試作づくり始めたのです。

しかし、製品化の過程で、すぐに大きな「問題」が発生します。

生地耳を何枚も縫い合わせているmatectの生地は、通常の生地よりも遙かに厚みが出てしまうのです。matectの生地の特徴である「丈夫さ」が、ここで仇（あだ）となってしまったのです。厚くて丈夫な生地は、通常の製品のように縫製した後で「ひっくり返す」という工程が非常にしづらく、きれいに仕上がりません。

3. 高い縫製技術と縫製手順の工夫
試作の段階で「ひっくり返しづらい(´;ω;｀)」という壁にぶち当たった私たちは、縫製40年以上のカズマの縫製のスペシャリストの下に泣きついたのです。
そのスペシャリストの手にかかれば様々な道具、縫製過程での工夫によって品質の高い製品に生まれ変わったのです。

またそれ以外にも「ひっくり返すのではなく、生地と生地を縫い合わせ、バイアステープで縁取りをする」という縫製方法も試してみました。
このバイアスによる縁取りは、手間はかかりますが、分厚い生地を無理なく美しくまとめ上げるだけでなく、アクセントカラーをプラスすることで、製品全体にメリハリと温かみを与えることに成功しました。
また、縫い合わせることでより強調されるmatectのふわふわとしたモケモケの素材感と、生地を重ねたことによる驚くほどの丈夫さは、製品としての価値をさらに高めてくれました。

こうした多くの方たちの知恵と努力がつながり合い、そして「廃棄物という素材を活かしたい」という熱い信念によって、世界に同じものが一つもないmatectの製品が誕生しました。

そしてまずは直営店（カーテンのカズマ）での販売でお客様の反応を見ることにしました。
どうすればお客様の手に取ってもらえるかもメンバーみんなで考え自分たちでディスプレーしました。

ここからさらにお客様の反応、直営店の販売員の方たちの意見、使ってくださっている方たちの意見を聞いて新たなアイテムや商品のブラッシュアップを進めていくのですがそれはまた次の機会にお伝えします・・・。

モケモケとした温かみのある素材感、そして生地を重ねて作られた丈夫さ。
一つとして同じ表情のないmatectの製品には、私たちの挑戦の物語と、未来への願いが込められています。

ぜひ、この冬、あなただけのmatect製品を手に取り、その裏にある物語と、私たちの「未来図」を感じていただけたら幸いです。