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これぞ“歩く博物館”。最古にして最先端のパイオニア

これぞ“歩く博物館”。最古にして最先端のパイオニア

開発センター
西出さん

もはやこの人が設計図。動いている機械全部の裏にいる人

本社にほど近い場所にある開発センター。
ここは、アイディアベースのテキスタイルを試作する場所で、その試作をするための機械を生み出している場所でもあります。そしてその機械を改良し続けているのが西出さん。

工場内を見渡すと、改造された織機とか何やら見たことのない動きをする装置が並んでいて、正直ちょっとした実験室のよう。
事務所の横には、びっしりと並んだテキスタイルのサンプル。どれも「試してみた結果」がそのまま積み重なっている感じです。

そして、開発センターに行くと、だいたいいつも西出さんが一人。特別な音がしているわけでもないし、誰かが慌ただしく動いているわけでもないのに “ちゃんと回っている感じ”がするのが不思議。

あとから聞いてみると、
「何もなくても、いつでも機械を動かせるようにしとかなあかんからね」と西出さん。

「普段から自分で考えて、いろいろ作ってるし。楽しいよ」

気づけば、動いている機械も、並んでいるサンプルも、その場の空気感まで、全部この人の延長線上にある気がしてきます。


分業じゃないからこそ、全部できる

西出さんのキャリアは輝かしくて、まさに繊維王国福井を支えてきた技術者その一人。

繊維産業が盛んだった勝山市の工場で、高校生の頃からずーっとこの世界にいる。

最初は約11年間衣料用の真っ白な生地を織っていた。
その際、織物の技能国家試験も取得。恐る恐る試験内容を聞いてみたけど、案の定ぶっとんでいた。 

2時間以内に織機全体で問題のある箇所をチェックして調整、さらに各タイミングのズレも修正したうえで織物を1.5m織りなさい、という内容だそうで。 

いやもう、戦後の日本をけん引してきた技術者というのはレベルが違う。 

繊維業界は分業が基本で、他の工程が見えないのが普通だったけど、そのあと先染めのジャガード織物の会社に転職したら、これまでの概念がふっとんだ。

染められたタテ糸とヨコ糸を自在に操って思い通りの柄が出るジャカード織。その素晴らしさに沼り、「これはおもしろい!」と技術者としての好奇心を掻き立てられたらしい。


デジタル前夜の、手仕事の話が濃い

さらに驚いたのが、昔の製図の話。

パソコンもコピー機もない時代、ガリ版で図面をつくっていたそう。油紙の上に鉄板を敷いて、金属の針で文字や線を刻んでいく。今でいうCADのような設計作業を、すべて手の感覚と目の精度だけでやっていたという話で、正直、想像が追いつきません。

しばらくして西出さんが入口に無造作に置かれていた段ボールを持ってきた。取り出したのは、昔の工場で使われていた木製のシャトル。想像以上に大きくて、手に持つとずしっと重い。そしてロッカーから出てきたのは、すごい数の手書きの・・・設計図?

手書きの“取扱説明書”という発明

そこに描かれていたのは、機械の一部分を精密に写し取ったスケッチ。そしてその周囲には、赤字でびっしりと書き込まれたメモ。

「この面は平行で接触させてセットすること」「ステッキガイド両側にあり。ピッカセンタ0.5㎜調整、リードに沿って走らせる目的」──

一つひとつの機械のクセや扱い方が細かく記録されていて、どう見ても“自作の取り扱い説明書”。

「こうやって機械を写して書いて、全部メモしてたんです。毎日」と西出さん。「だから機械のトラブルなんて起きないんですよ。普段の状態をすべて把握していれば“いつもと違う”に事前に気づけるでしょう?」

ふと、「機械は生きている。糸も生きている。一つひとつと対話する」という先代の社長の言葉を思い出し、ああ、こういうことかと、カズマのDNAをこの目で見た気がしました。

この取り扱い説明書、博物館に貯蔵したほうがいいやつじゃないのかな・・・。素人が気軽に触ってはいけない気がして、神々しくて、自分の手でページをめくれませんでした。


毎日がルーティンで、毎日が更新

朝は4時半に起床。お弁当をつくって出勤。
8時半始業ですが、8時前にはすでに工場にいるそうです。

家事もこなし、奥様の介護の記録も毎日欠かさず、生活そのものを整えている。その上で、機械の調整も、織物の設計も、当たり前を維持し続けている。

「いつまで仕事やるつもりなの?って周りには言われるけど。やらされてるなら苦痛やけど、自分でやるのは楽しいからね」

目が悪くなってきた今も、拡大鏡を使いながら細かい部分を確認しているそうです。

評価や成果のためではなく、「なぜだろう」「どうすればいいだろう」という問いを、
神域に触れるようにひたすら掘り下げている人。

しかもそれを、好奇心で楽しみながらやっている。

こういう人のことを、“最古にして最先端”って言うのかもしれません。

今日もきっと、何もなかったように機械が動いている。その裏で、ひとり静かに、全部を支えている、そんなスーパープレイヤーが西出さんなんです。

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