製作工程をのぞく作り手に聞く、カズマのカーテンができるまで。

皆さんのお部屋にあるカーテンって、どこで作られているか知っていますか?
もしかしたら、それは「株式会社カズマ」かもしれません。
『DR!UM』を運営する「株式会社カズマ」は、大手インテリアショップや国内ブランドのカーテンを多数手がけるメーカー。
新しいテキスタイルや機能性レースの開発にも積極的に取り組んでいて、インテリアの枠を超えたテキスタイルの可能性に挑戦している会社でもあるんです。
そこで今回は、福井県福井市にあるカズマ本社を訪問。
製造統括部の田中滋さんに工場を案内していただき、カズマのカーテンがどうやって作られるのかを見学してきました!

「日本の住宅をカズマのカーテンで彩る」を目標に、社員の力を100%発揮できる現場づくりに力を注いでいます。
カズマのカーテンをつくる体制
カズマのカーテン製造の大きな特徴は「自社一貫生産体制」にあります。
「当社はカーテン製造のすべての工程をワンストップで行えるのが強みなんですよ」と田中さん。
一般的にカーテン製造は生地の生産や染色加工、縫製などの工程ごとに専門の会社があり、それぞれ加工ごとに仕事を発注することが多いのですが、カズマは協力会社や中国の子会社と連携して自社で全部ができてしまうんです。
これほどの生産体制を持つのは、国内のカーテンメーカーでは非常に少ないそう。
大手企業がこぞってOEM(相手先ブランド製造)のパートナーにカズマを選んでいるのも納得です!
カズマのカーテンができる工程
それでは、工場をのぞいてカーテン製造の工程を見ていきましょう!
生地を製造する

整経(せいけい)
生産する生地の仕様に合わせた原糸(げんし)を手配し、ビームという大きなボビンのような器具に糸を巻きなおしていきます。この作業を整経といいます。
「糸によって伸縮性や硬さが違うので、ビームに巻く速度やテンションのかけ具合を調整しているんですよ」と田中さん。
いい生地を作るためには、糸の性質を熟知して、その能力を生かせる下準備をしっかりすることが大事なんですね!

編立(あみたて)
編立とは生地を編む工程のこと。カーテンの生地は織物というイメージが強いかもしれませんが、レースは編物なんです。
「当社は多種多様なレースを生産する編立技術の幅広さも自慢なんです。ものづくりが好きで、いろいろな編みの技術にチャレンジしてきた歴史がカタチになっていると言えるかな」と田中さん。
カズマのレース生地を生産している福井市の鮎川工場には、10種類の編機が揃っています。これほどのバリエーションを揃えているのは、国内の工場ではとても珍しいんだそうです。
確かに、工場ではいろいろな編機が動いていますが、1台として同じレースは編んでいませんね。同じような機械に見えてもそれぞれに特徴があって、編み上がるレースの柄や質感が全然違っています。
目視検査
編み上がった生地は「生機(きばた)」といいます。生機は全数検査を行い、次の工程に出す前に汚れやキズを目視でチェックしています。
染色加工
染色加工と聞くと、生地をいろいろな色で染めるってイメージしますよね。
「実は染めだけじゃなくて、生地の表面についた不純物を落とす『精練(せいれん)』という洗い作業や防炎などの機能性を生地にプラスする加工も行っているんですよ」と田中さん。
この工程を担当する協力会社は、カズマのカーテンをよく分かっているチームの一員。ここでも加工後に全数検査をして、汚れやキズが見つかった場合は、その部分をカーテンに使わないよう印をつけて渡してくれるんだそうです。
原反の完成
生機は染色加工を経てカーテン用の生地になり、「原反(げんたん)」と呼ばれるようになります。
縫製前の検品
できあがった原反は、縫製の拠点があるカズマ本社工場に入荷されます。
幅も長さも大きいから反物もジャンボサイズですね!
「入荷した反物はサンプリング検査を行って、生地台帳と照らし合わせて、標準見本や前に入荷したロットと違和感がないかチェックします。初めて生産した生地はサンプルをカットして生地台帳に貼り、次に同じ生地を作ったときに確認できるようにしておくんですよ」。
インテリアは雰囲気も大切な要素なので、色味のばらつきが出ないよう入荷の段階で厳しくチェックしているんですね。
裁断・縫製

粗切り
できあがりサイズに比べてかなり大きく裁断するんですね。これってどうしてなんですか?
「特にレースは伸縮性があって、ひっぱると1cmくらい伸びることもあるんですよ。ミシンで縫うときにも縮みが出るので、当社では最終製品に必要な縫い代よりも余裕を持ってカットしています」。
特にオーダーカーテンは、注文の丈ぴったりに仕上げないとお客様の部屋の窓に合わなくなるので、余裕を多めに取るそうです。
耳・裾の縫製
オーダーカーテンはまず、裾から縫い始め、その後に耳と呼ばれる左右の端を縫います。カズマでは仕上がりの美しさを追求して、縫い代をしっかりととり、耳と裾はできるだけ細かく縫うようにしているそうです。
「カズマではポリエステル製のドレープカーテンやレースカーテンの場合、3cmの間にミシン目が9針分入る『3cm9針』が基本です。一般的なカーテンの中では縫い目が細かいほうですね」と田中さん。
縫い目を細かくするほど縫い縮みが起きやすくなるんですが、目が粗いと糸が切れてほつれやすくなるんだそう。カズマではお客様にできるだけきれいな状態で長く使ってほしいという想いから、縫い目の細かさは妥協しないと決めています。
アイロンがけ
耳や裾の縫い縮みや運ぶ工程でできたしわを取るためにアイロンがけをします。
正寸カット
ここできっちり指定された寸法通りに仕上がるように生地をカットし直します。
オーダーカーテンは一つひとつ寸法が違うので、粗切りと正寸カットの2回に分けてカットするひと手間をかける必要があるんだそうです。

芯地縫い付け
カーテンのひだを作るために生地の上部に芯地テープを縫い付け、折り返し縫いをする「止め」という作業を行います。
ここは生地の特徴を知っていないと難しい工程なので、キャリア5年以上のスタッフが担当しているんだそう。
「現状では生地ごとの最適な縫製条件は、まだ作業者の経験にゆだねている部分があります。しかし、今後は作業者によるばらつきをなくすために縫製のIT化を進め、ミシンに最適条件をプログラムして縫えるようにしていきたいと思っています」。
先輩の経験を共有して若手を育てつつ、進化するミシンの技術との相乗効果で生産性アップも図ろうとしているんですね。
ひだ加工
オーダーの仕様に合わせて1.5倍ひだ(2つ山)、2倍ひだ(3つ山)などのひだを作っていきます。
形状加工

商品によってはカーテンのドレープをきれいに整えるために、形態安定加工を施します。
「生地の種類によってプリーツセッターという機械と真空状態になる形状窯を使い分けています。どちらも熱の力で生地にひだの形を固着させるんですよ」と田中さん。
カーテンをかけたときに等間隔のきれいなドレープが出るのは、形状加工がされているからなんですね!
これでようやくカーテンの完成です!
最終検査
・目視検査
できあがったカーテンは正しい寸法か、アイロンのかけ残しや汚れがないか、洗濯ネームのつけ忘れやつけ間違いがないかなどを、一つひとつ目視でチェックします。

・検針
梱包されたカーテンは出荷前に必ず金属探知機に通し、異物が混入していないかを検査します。
「毎朝、使用前にメーカー指定のテストピースを通して点検しています。どんなにきれいに縫製しても異物が混入していては絶対にダメ。お客様には万全の状態でお届けしたいので、検針にいたるまで工程ごとの検査は徹底しています」と田中さん。
カズマが信頼されているのは、生産技術と縫製技術、品質管理のすべてが高いレベルで維持されているからなんですね!

カーテンは一つひとつバーコードで識別できるようになっていて、出荷時もしっかり管理しています。
これでようやくカズマのカーテンの出荷準備が整い、お客様のもとに運ばれていきます。
まとめ
1本の糸が生地になって、カーテンになる工程には、たくさんの人の技術やこだわりが込められていることが分かりました。
工程ごとの検査の多さには驚きましたが、カズマにとってはお客様の注文どおりのカーテンを作り、期待に品質で応えるためには当たり前のことなんだそうです。
カズマは一貫生産体制を通して真面目なものづくりのリレーがしっかりとつながっているから、信頼の品質を実現することができるんですね。
生地からつくるオーダーカーテン